マイホーム取得をめぐる税金(平成12年度改訂版)
INDEX:
印紙税/
登録免許税/
不動産取得税/
住宅取得資金贈与の特例/
住宅ローン控除
念願のマイホームを取得する場合、さまざまな税金が絡んできます。売買契約書を取り交わすとき、法務局に登記するとき、親からマイホーム資金を贈与されたときなどいろいろな場面で税金がかかってきます。また、住宅ローン控除のように所得税が控除される場合もあります。マイホーム取得をめぐるこれら税金について見ていきたいと思います。
印紙税
まず、マイホームを新築したり、購入したりするときに作成する請負契約書や売買契約書などには、収入印紙をはって消印する方法により印紙税を納付しなければなりません。契約書1通あたりの税額は次のとおりです。
〔建物の工事請負契約書の場合〕
契約金額 |
税額 |
100万円超200万円以下 |
400円 |
200万円超300万円以下 |
1000円 |
300万円超500万円以下 |
2000円 |
500万円超1000万円以下 |
1万円 |
1000万円超5000万円以下 |
2万円(1万5千円) |
5000万円超1億円以下 |
6万円(4万5千円) |
〔不動産の売買契約書の場合〕
契約金額 |
税額 |
100万円超500万円以下 |
2000円 |
500万円超1000万円以下 |
1万円 |
1000万円超5000万円以下 |
2万円(1万5千円) |
5000万円超1億円以下 |
6万円(4万5千円) |
1億円超5億円以下 |
10万円(8万円) |
( )内の金額は、平成9年4月1日から平成13年3月31日までの間の緩和措置です。
登録免許税
マイホームが完成し所有権を保存登記するときや、購入した住宅を自分の名義するときには、登記所で登記を行います。この登記を行ったとき納める国税が登録免許税です。
所有権の移転・保存登記の登録免許税は、不動産の価額等を課税標準として、次の算式で計算します。
不動産の価額(課税標準)× 税率 = 登録免許税
ところで、不動産の価額とは、購入価額ではなく固定資産課税台帳に登録された価額をいいます。なお、土地については平成11年4月1日から平成15年3月31日までの間、固定資産課税台帳の登録価格の3分の1とする緩和措置があります。
なお、税率は登記の内容や原因によって異なりますが、主な登記の種類及びその税率は次のとおりです。なお、平成13年3月31日までの間、一定の住宅用家屋の所有権の移転・保存登記、及び抵当権の設定登記については、税率軽減の特例があります。
*抵当権の設定登記の課税標準は「債権金額」です。
- 〔特例を受けるための要件〕
- ・ 自分が居住するための家屋であること
- ・ 家屋の床面積(登記面積)が50平方メートル以上であること
- ・ 家屋の取得後1年以内の登記であること
- ・ 中古住宅の場合、家屋の取得の日以前20年以内(マンション等の耐火建築物の場合25年以内)に建築されたものであること
不動産取得税
土地や建物などを取得したときには地方税である不動産取得税がかかります。
税額は、土地や建物ごとにその価格(固定資産税評価額)に4%をかけた金額ですが、住宅や一定の要件に当てはまる住宅用の土地の税率は3%になります。さらに一定の要件を満たす住宅には特例が用意されています。
計算方法 不動産の評価額 ×4% = 不動産取得税
*不動産の評価額は、平成14年12月31日までの宅地などの取得については固定資産課税台帳の登録価格の2分の1とする緩和措置があります。
(1)新築住宅の課税標準の特例(1,200万円控除)
住宅を新築(購入を含む)した場合には、1戸(共同住宅等については、居住用として独立に区画された部分)の床面積が50平方メートル(戸建以外の貸家の場合40平方メートル以上)以上240平方メートル以下である場合、その住宅価格から1,200万円を控除することになっています。
計算方法 (固定資産税評価額−1,200万円)×3%=不動産取得税
(2)中古住宅の課税標準の特例
次の要件を満たす中古住宅については、その中古住宅の新築された時に応じて、次の額を控除することになっています。
- 要件
- ・ 床面積 50平方メートル以上240平方メートル以下
- ・ 自己の居住用として取得すること
- ・ 新築後20年以内(一定の非木造住宅の場合は25年以内)
- 新築時期に応じた控除額
- ・ 昭和56年6月30日までの新築 350万円
- ・ 昭和56年7月1日から昭和60年6月30日までの新築 420万円
- ・ 昭和60年7月1日から平成元年3月31日までの新築 450万円
- ・ 平成元年4月1日から平成9年3月31日までの新築 1,000万円
- ・ 平成9年4月1日以降の新築 1,200万円
- 計算方法 (固定資産税評価額−新築時期に応じた)×3%=不動産取得税控除額
(3)一定の住宅用地を取得した場合---4分の1軽減の特例
取得した土地が次の要件を満たす場合には、土地に対する不動産取得税の税額の4分の1が減額されます。(結果として税率が3%になります。)
取得時期 |
要件 |
・土地と住宅が同時取得の場合 |
--- |
・土地が先行取得の場合 |
3年以内に住宅を取得すること |
・住宅が先行取得の場合 |
取得後1年以内に土地を取得すること |
(4)特定住宅用土地の軽減の特例
さらに、取得した土地が(1)又は(2)に該当する住宅用の土地であり、かつ、次の 要 件を満たすものである場合には、(3)の4分の1軽減特例と併せて次の控除が認められます。
|
取得時期 |
要件 |
新築住宅の場合 |
土地と住宅が同時取得の場合 |
-- |
土地が先行取得の場合 |
3年以内に住宅を新築すること |
住宅が先行取得の場合 |
新築後1年以内に土地を取得すること |
中古住宅の場合 |
土地と住宅が同時取得の場合 |
-- |
土地が先行取得の場合 |
1年以内に住宅を取得すること |
住宅が先行取得の場合 |
取得後1年以内に土地を取得すること |
(控除額)
次のイ、ロのいずれか多い金額を税額から控除できます。
イ 45,000円
ロ 土地1平方メートルあたりの価格×1/2×( 住宅の床面積 ×2)×3%
(1戸あたり200平方メートルが限度)
この結果、既に土地に係る不動産取得税を納めている場合には申請により不動産取得税が還付されることがあります。この場合最寄りの都道府県税事務所に申請する必要があります。
なお、不動産取得税の納税は県税事務所から送られてくる納税通知書により指定期限までに納めますが、指定期限についてはまちまちですので、各県税事務所に問い合わせるとよいでしょう。
住宅取得資金贈与の特例
個人から年間60万円を超える財産をもらえば、たとえ親からの贈与であっても贈与税がかかるのが原則です。しかし、自分が居住する住宅を取得するための金銭(住宅取得資金)を父母または祖父母(配偶者の父母または祖父母は含みません)から贈与された場合において、次の要件に当てはまれば、贈与税の負担を軽減するという特例です。
この特例の適用を受けると、5分5乗方式*で計算するため、300万円までの住宅取得資金については贈与税がかからず、300万円を超え1,500万円までの部分については、贈与税が減額されます。
*5分5乗方式 贈与を受けた財産の価額を5分の1して税額を計算し、その税額を5倍して納税額を算出する方法
- 住宅取得資金の贈与特例を受けるための要件
- イ 贈与を受ける資産は居住用家屋を取得(家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地を含む)するための「金銭」であること
- ロ 原則として、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住用家屋を新築または取得し、その住宅に居住すること
- ハ その家屋は、床面積の2分の1以上の部分がもっぱら居住の用に供されるものであること
- ニ その家屋は、床面積が50平方メートル以上であること
- ホ 中古住宅については、取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたものであること
- ヘ 贈与前5年以内において、自己又は配偶者が所有する住宅用の家屋に居住していないこと
- ト 贈与を受ける人のその年分の合計所得金額が1,200円以下であること
- チ 既にこの特例を受けたことがないこと
特例を受けるには、贈与税の申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、戸籍謄本、登記簿謄本、住民票の写しなど一定の書類を添付して申告しなければなりません。
申告期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までとなっています。
〔特例を適用したときの計算例〕
(例1)贈与額300万円の場合
300万円÷5−(基礎控除)60万円 =(課税価格)0円
(例2)贈与額 1,000万円の場合
1,000万円÷5−(基礎控除)60万円 =(課税価格)140万円
140万円×(税率)10% ×5=(贈与税額)70万円
(例3)贈与額 1,500万円の場合
1,500万円÷5−(基礎控除)60万円 =(課税価格)240万円
(240万円×(税率)20%−17.5万円 )×5=(贈与税額)152.5万円
*ちなみに、1,500万円の一般の贈与を受けた場合の贈与税額は
(1,500万円−60万円)× 50%−190万円=530万円となり特例を受けた場合と大きな違いがあります。
住宅ローン控除
住宅ローン等の借入金を利用してマイホームを新築や購入、増改築をしたときには、一定の要件にあてはまれば、その住宅ローン等の一定割合を居住の用に供した年から15年間にわたって所得税額から控除することができます。いままで、控除の対象となる期間は6年間でしたが、平成11年度の税制改正で一挙に15年間に延長されました。
15年にわたる住宅ローン控除制度は、期限を平成11年1月1日から平成13年6月30日までの居住開始に限った時限政策であり、平成13年7月以降入居する場合は、その後の措置がなければ、平成9年に改正された控除対象期間6年の住宅取得等特別控除の制度に戻ります。
(1)住宅ローン控除額の計算(ローン残高は5,000万円が限度となります。)
- ・1年目から6年目まで住宅ローン等の年末残高 × 1%
- ・7年目から11年目まで住宅ローン等の年末残高 × 0.75%
- ・12年目から15年目まで住宅ローン等の年末残高 × 0.5%
(2)控除を受けるための要件
- イ その住宅の新築、購入、増改築のため、償還期間が10年以上の一定の借入金があること。
平成11年度の改正で“敷地分に係る借入金”も控除対象に加える措置がされていますが、次の要件を満たしているものに限られています。
- ・住宅金融公庫,沖縄振興開発金融公庫,年金福祉事業団等からの借入金(新築の日前に土地等を取得した場合)
- ・地方公共団体等からの借入金で建築条件が付されているもの
- ・宅地建物取引業者との間で建物の請負工事契約(分譲契約締結後3カ月以内)が成立している場合の借入金
- ・その他の借入金で「新築の日前2年以内」に土地を取得した場合で,家屋についての抵当権の設定がされているもの
- ・建売住宅の敷地分の借入金
- ロ 住宅を新築または購入した日、増改築等した日から6ヵ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引続き居住していること。
- ハ 控除を受ける年の合計所得金額(分離課税の譲渡所得については、特別控除額を控除する前の額によります。)は3,000万円以下であること。
- ニ 入居した年及びその前後2年以内に、居住用財産の3,000万円特別控除や税率の軽減特例、又は、居住用財産の買換え特例などの譲渡所得の特例を受けていないこと。
(3)控除対象となる家屋または居住用住宅の増改築等
- 新築住宅
- ・床面積の2分の1以上の部分が自己が居住するための住宅であること
- ・床面積が50平方メートル以上
- 中古住宅
- ・床面積の2分の1以上の部分が自己が居住するための住宅であること
- ・床面積が50平方メートル以上
- ・その家屋の取得の日以前20年以内(マンション等の耐火建築物については25年以内)に建築されたものであること
- ・建築後使用されたことがある家であること
- ・家屋の取得の時において生計を一にし、かつ取得後も引続き生計を一にする親族等からの取得でないこと
- 増改築等
- ・自己が所有し、居住するための住宅の増改築等であること
- ・増改築後の家屋の床面積が50平方メートル以上であること
- ・増改築等に要した費用が100万円を超えていること
- ・居住の用に供する部分に係る工事に要した費用がその工事に要した費用の総額の2分の1以上であること
- ・増改築後の家屋の床面積の2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供されるものであること
- * 増改築の範囲についてはさらに細かく定められています。
(4) 控除を受けるための手続
住宅ローン控除を受けるためには年末残高証明書や、家屋の登記簿謄本、請負契約書 や 売買契約書、住民票の写しなどの所定の書類を添付して、確定申告をする必要があります。
ただし、サラリーマンの人は、1年目に確定申告をすると2年目以降は勤務先へ所定の書類を提出すれば、年末調整で控除が受けられる仕組みになっています。