税務トピックス No.48   サラリーマンの確定申告  

            ――――  確定申告をしなくてはならない人     

サラリーマンが納める所得税は会社が給料やボーナスから所得税を天引きして納めるシステムになっています(これを源泉徴収といいます)。 また、年末には会社がまとめてその過不足を計算し、多く払っているときには本人に還付し、不足する場合には本人から不足分を徴収するという方法で、税額の調整を行います(この作業を年末調整といいます)。

これによって、一般的なケースであれば年間の所得税額が確定し、納付が完了したことになります。 したがって、医療費控除や住宅ローン控除の適用を受けて還付を受けたいといった特別な事情でもない限り、通常サラリーマンの場合は申告をする必要はありません。

ところが、なかにはサラリーマンであっても確定申告が義務づけられている人がいます。この人たちは確定申告しないと後日税務署から連絡があり、追徴等の問題が発生する場合がありますから注意しなくてはなりません。

  1. サラリーマンの給与所得に係る課税のしくみ

まず、年間の給与収入と課税所得の関係を整理しておきます。

  【 年間の給与収入と課税所得の関係 】

(1) 給与所得控除   

     次の表の式により計算しますが、収入金額が660万円未満のときには、「簡易給与所得表」

    から直接給与所得の金額を求めます。

給与収入金額

給与所得控除

1,625,000円以下

1,625,000円超え 1,800,000円以下

1,800,000円超え 3,600,000円以下

3,600,000円超え 6,600,000円以下

6,600,000円超え 10,000,000円以下

10,000,000円超え

 

650,000

給与収入金額 × 40

〃    × 30 80,000

   × 20 540,000

   × 10 1,200,000

    × 5 1,700,000

 (2) 所得控除

年末調整でできるもの 生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除など

 確定申告するもの 医療費控除、雑損控除など

 (3) 課税所得から所得税額を求めます。  

課税所得の金額を下記の所得税の速算表に当てはめて所得税額を計算します。

                                           ( @×A−Bで算出 )

@ 課税所得の金額

A 税率

B 控除額

330万円未満

330万円以上900万円未満

900万円以上1800万円未満

1800万円以上

10

20

30

37

33万円

123万円

249万円

 (4) さらに定率減税を差し引きます。

   定率減税は、定率減税前の所得税額×20%もしくは25万円のいずれか少ない方の金額。

2.確定申告をしなければならない人

(1)1年間の給与が2000万円を超える人

  サラリーマンでも年間の収入が2000万円を超える人の場合には、年末調整がされておらず、 

   確定申告をすることが義務づけられています。源泉徴収票をみると社会保険料を除き生命保

   険料控除欄などの各種控除欄がすべて空欄になっています。つまり、確定申告をしなけれ 

   ば、これらの控除の適用を受けることができず、高い税金を払うことになります。

年収が高い人の申告上の留意点

  1. 所得金額が1000万円を超える場合には、配偶者特別控除が適用されないので注意が必要です。
  2. サラリーマンで給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円以下の人は申告しなくても良いことになっていますが、給与収入が2000万円を超える人は20万円以下の場合でもすべて申告しなければなりません。
  3. 高額所得者の中には株式投資をしている人も多く、株式の配当を受け取っているケースが少なくありません。

1銘柄で1回に支払いを受ける額が50万円(中間配当がある場合、1回の受取額が25

万円)を超える場合、またそれに満たなくても源泉分離課税を選択していない場合には

申告することになっています。

  1. 給与以外に、サイドビジネスなどで収入がある人
  2. サラリーマンでも、アルバイトやサイドビジネスをして原稿料や講演料などの報酬を受け取っ

       ている人、株式の配当収入がある人、アパート経営の家賃収入などがある人がいます。

        この場合、その年中に支払いを受けるこれらの収入に係る所得金額の合計が20万円を超

       える場合には確定申告をしなければなりません。

    また、給与収入が2000万円を超えている人は、副収入に係る所得金額が20万円以内であ

    っても確定申告をしなければなりません。

         

  3. 給与以外に保険などの満期のある人

  生命保険や郵便局の簡易保険などの満期金や解約返戻金を受け取ったり、クイズの賞金、

  競馬や競輪の払戻金といった偶発的な収入は一時所得になります。

一時所得の額は次の式により計算し、その2分の1の金額が給与所得と総合して課税される

ので、「課税される金額」が20万円を超える場合は確定申告する必要があります。

一時所得 総収入金額 その収入を得るため 特別控除額

                  に支出した金額      50万円) 

「課税される金額」= 一時所得の金額 × 1/2

                                   

また、給与収入が2000万円を超える人は、上記の「課税される金額」が20万円以内であって

も確定申告をしなければなりません。

違ってきますので注意が必要です。契約者と受取人が同じ場合は上のように一時所得として課税されるので

すが、契約者と受取人が異なる場合は最も税率の高い贈与税の対象となるので注意が必要です。もし、このよ

うな契約の形になっていたら、特別の目的でもないかぎり、受取人の変更手続きをしておきましょう。

  1.  2ヵ所以上の会社から給与をもらっている人

サラリーマンでも出向などにより、本来所属している会社以外にも出向先の会社から給料の一部が支払われたり、複数の会社の役員を兼ね、それぞれの会社から報酬を受け取っているという人もいます。

年末調整は1ヵ所でしか受けられないので、年末調整を受けていない給与について税金を精算するため、その人は確定申告しなければなりません。

 ただし、給与を2ヵ所から受けている人で、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人は確定申告しなくても良いことになっています。

  1. 同族会社の役員やその家族などで、その法人から給与の他に貸付金の利子、店舗

等の賃貸料などの支払いを受けている人

これらの人も確定申告をする必要があります。

 

以上、サラリーマンが確定申告をしなければならない主なケースをあげてみました。

確定申告は216日から315日まで、なお所得税の口座振替を利用すると納付は4

18日になります。混雑する時期を避けて税務署がすいている早めの申告が良いと思います。

                                           

 

( 2001216